今年3月、DLSS 5のお披露目は静かな悲鳴とともに迎えられました。
『バイオハザード レクイエム』のデモで、レオンの顔がなめらかに、対称的に、どこか別人のように変わっていたからです。海外では「加工アプリをかけたみたいだ」と揶揄され、大きな批判が起きました。
あれから約4か月。NVIDIAがSIGGRAPH 2026で、この技術の中身と、開発者が使える制御機能を説明しました。
🎮 先に結論
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DLSS 5は幾何形状(ジオメトリ)を変える技術ではなく、映像の上に乗せる生成フィルターだと確認された
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開発者は効果の強さを調整でき、オブジェクト単位で除外もできる
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生成モデルは3種類から選択可能。シーンごとに使い分けもできる
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リリースは2026年末予定。動作要件はまだ非公開
まず、話が少し変わった
見逃せないのがここです。
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは以前、DLSS 5を「幾何形状レベルでの生成制御」と表現していました。かなり踏み込んだ言い方です。
しかし今回のプレゼンで確認されたのは、そこまでの技術ではないということ。DLSS 5はフレームの土台となる幾何形状には一切手を触れず、モデルにもとづいて絵を「良く見せる」フィルターとして働きます。
期待していた人には物足りない話かもしれませんが、「勝手に作り変えられるのでは」と警戒していた人にとっては、むしろ安心材料でしょう。
「傷跡を消さない」ように訓練する
NVIDIA自身も、この技術の最大の難所を認めています。モデルが“即興”をしてはいけない、ということです。
リアルタイム描画で求められるのは、あくまで元の造形を正確に保つこと。そのため生成モデルは、作者の意図を壊さないよう特別に訓練されているといいます。
例として挙げられたのが、キャラクターの顔から傷跡を消してしまわないように、という話。3月の騒動が念頭にあるのは明らかです。あのとき批判の的になったのは、まさに「勝手に美形にされた」という点だったので。
技術的には、DLSS 5は一度に1フレームずつ生成し、未来のフレームは参照しません。フレーム間のちらつきは、動きのベクトル情報を使って抑えるとのことです。
開発者に渡される「つまみ」
art styleを守るための具体的な手段も示されました。
① 3つの生成モデルから選べる
ひとつに縛られず、シーンごとに使い分けが可能。
② 2つの強度スライダー
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Structure Intensity(構造の強度)……陰影や反射といった効果を担当
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Tone Intensity(トーンの強度)……光や色の全体的な変化を担当
③ オブジェクト単位の除外(マスキング)
これがいちばん実用的かもしれません。背景にはフィルターをかけて、キャラクターには一切かけない、という運用ができます。
3月の炎上の中心が「キャラの顔」だったことを考えると、この機能が用意されたのは自然な流れです。NVIDIAは「これは選択肢の一部にすぎない」とし、パートナーの意見をもとにさらに増やしていく、DLSS 5を「アーティストのための本格的なツールにしたい」と述べています。
🇯🇵 気になるのは、アニメ調のゲーム
ここからは個人的に引っかかっている点です。
今回示された対策は、どれも写実的なグラフィックを前提にしているように見えます。傷跡を消さない、顔を作り変えない——いずれも実写寄りの表現の話です。
では、セルシェーディングやアニメ調の作品はどうなるのでしょうか。
意図的に線を強調し、影を階調で切り、色を現実からずらしている表現に、「よりリアルに見せる」方向のフィルターをかけたら、その個性は真っ先に壊れます。写実系より、むしろこちらのほうが危ういのではないか、と。
もっとも、オブジェクト単位で除外できるなら「そもそも全部かけない」という判断も可能です。結局のところ、このツールを使わない自由がきちんと残るかが肝になりそうです。
買う側として、いま知っておくべきこと
実用的な話をひとつ。
DLSS 5のリリースは2026年末の予定ですが、動作要件はまだ公開されていません。
つまり現時点では、「DLSS 5のためにグラボを買い替えるべきか」を判断する材料が揃っていない状態です。要件が出るまでは、慌てて動く必要はないでしょう。
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おわりに──「良く見せる」と「作り変える」の境界線
画質向上の技術そのものに、反対する人はまずいません。問題は、どこからが「向上」で、どこからが「改変」なのか、その線引きです。
そしてその線を引く権利は、本来なら作った人にあるはずです。今回NVIDIAが強度スライダーや除外機能を用意したのは、その権利を作り手側に戻す動きだと受け取れます。
あとは、実際にどう運用されるか。年末の登場を待ちたいところです。
最後に、みなさんにも聞いてみたいです。
あなたはこうしたAI画質向上、使いたい派ですか?切っておく派ですか? そして——「このゲームだけは絶対に元の絵のまま遊びたい」と思う作品はありますか?よかったらコメントで教えてください。